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ONE ACTOR’S SHOW 「ペール・ギュントの旅」 [映画・舞台]

        

        市村正親さん。 彼の舞台は出来うる限り見にいこうと思っています。

今年,市村さんの舞台を見るのは2回目になります。 3月に「デモクラシー」を見て以来です。

今回の舞台は今日が千秋楽でした。 千秋楽はチケットが取れないものだという認識から

抜け出せずにいます。 東京での公演の千秋楽は,私が見たいものはまず取れない

それどころか最近は欲しいと思ったチケットの半分以上が取れずにいます。 (見たかったな~

「天保十二年のシェークスピア」…) そんな状況なので,チケットをとることが出来た今日の

お芝居は,これが千秋楽だとは全然思わずに見にいきました。

千秋楽と分かってとっても得した気分

 

公演会場はサントリー小ホール。初めてサントリーホールに行きました。きれいな会場でした!

溜池山王の駅を出てすぐのところを曲がってびっくり! 「おお,桜坂!!!」

福山雅治の歌っていた桜坂ってここ(ですよね?)だったのか~! (違っていたら恥ずかし…

 

小ホールはたぶん舞台ではないのでしょう。持ち込みの椅子だと分かるものが置かれていました。

座り心地には全く問題ありませんでした。 舞台はファッションショーの舞台のようなT字型。

いわゆるキャットウォーク部分を取り囲むよう3方に客席がありました。私はとてもラッキーなことに

正面12列ほぼ中央。 といっても実際は6列目。 しかもこの列から一段高くなっており,

視界を遮るものが全くなくて,かなり嬉しかったです

 

舞台自体は市村さんの1人ミュージカルのような形でした。 ペール・ギュントの旅は中学校の

音楽で習ったのですが,あらすじは覚えておらず,暗い話という印象のみでした。

曲はアズナブールのもので,知らない人だなぁと思っていたら,実際は2曲ほど聞き覚えが

ありました。

ペール・ギュントの旅の曲も知っていたのは2曲。有名な「朝」と「ソルヴェイグの歌」です。

それにしても市村さん,今回は1人8役。 「クリスマス・キャロル」では50役ぐらいやるので

たった8役といった感じです。 背中の変化を見せるだけで,老人のペール・ギュントから

若者の役者に変わったことを理解させる彼の演技力の凄さ! 

また小道具の使い方も絶妙です。 特に白い仮面を美女に見せたり,魔物に見せたり,

子どもに見せたりと自由自在。 まるで能のお面のようでした。

そして56才だというのに,軽やかなステップ! 年齢を感じさせない歌声! 本当に凄いです。

なにしろ彼が劇団四季での最初の「オペラ座の怪人」でした。 本当に素晴らしかった!

そして今回は前説もユーモアたっぷりにご自身でなさってました。 そういうのってファンには

嬉しいことだったりします ご本人がおっしゃっていましたが,ミュージカル「モーツァルト!」の

舞台が9月にはないとのこと。 普通なら温泉で骨休みをしたり,ブロードウェイに行って新しい

ミュージカルの勉強をするものなのだけど,劇場から離れられないんです,とのことで

本当に役者であることを楽しんでいるんだな~と思いました。 舞台の始まりも,彼が演じた

ミュージカルナンバーのさわりをちょこっと。 (版権の問題で)歌ったりは出来ないようですが,

それでもほんのちょっとそぶりを見せてくれるだけでもファンには嬉しいものです

 

去年見た市村さんの1人芝居は「平成市村座」で和物風でした。(これもとっても楽しかった!)

今夏は洋物風で,市村さんは本当に私の期待を裏切りません 次の舞台も楽しみです。

次はなにを演じてくれるんだろう? 次もチケットが取れるといいな~

 

 

          ONE ACTOR’S SHOW「ペール・ギュントの旅」について                                    

                                   (ネタバレあり…と言っても公演終了)

原作はイプセン。 1867年に発表された戯曲です。 今回の市村さんの舞台と戯曲では

違う部分があると思いますが,市村さんの舞台の筋をご紹介したいと思います。

ペール・ギュントは母親と2人暮らしの20才の青年,大ほら吹きで夢ばかり見ています。

幼なじみで金持ちの娘イングリッドを彼女の結婚式から奪うため式場に行く途中に

ソルヴェイグという美しい娘に会い一目惚れをします。 しかし金持ちの娘を諦められない

ペールは式場で花嫁を略奪,山に逃げ込みます。ソルヴェイグを好きになっていたペールは

イングリッドと喧嘩別れをし,緑の服の美女と一夜を共にしますが,それは魔王の娘でした。

彼女は言います。「きれいなものは醜い,醜いものは美しい…」改めて見る彼女も醜い姿でした。

魔王の山から何とか逃げだしたペールは,森の精霊の声を聞きます。「まわり道をしろ。」

彼を追いかけてきたソルヴェイグと幸せな生活を築こうとしますが,そこに魔王の娘がペールの

子を伴ってやってきます。 彼女たちから逃れ,ソルヴェイグと幸せな生活を送るためのまわり道

として彼は旅に出ることを決意します。母親に別れを告げに戻ると,母は死の床に。

30年後,彼は大金持ちになってモロッコにいました。アメリカに黒人奴隷を,中国に宣教師を売って

富を築きます。故郷に戻ろうとしたとき,彼の船は盗まれたあげく沈没してしまいます。

失意の彼は偶然また富を得て,アラビアの族長の娘アニトラによって予言者とされ,彼女の部族に

連れて行かれますが,ここでも彼女に富をとられてしまいます。 20年後故郷に帰る途中で

船が難破し,何もない状態で故郷に戻ります。 そこで彼を待っていたのはソルヴェイグと

魂でボタンを作る男。 男はペールに言います。 「自分は自分だったのか? 自分を殺すとは?

という謎が解けなければボタンにしてしまう!」と。 さらに「俺が俺が…という人間は

自分自身にがない」と言われます。 悩むペールにソルヴェイグは「答えは簡単」と言います。

「私の心の中には本物のペールがいた」 と。彼はそうして救われていくのでした。

 

難しいところもあったのですが,示唆に富んでいたと思いました。 心に残る言葉が幾つもあり

ドキッとさせられることもしばしば。 それでも深刻さだけにならずに済んだのは,

市村さんの演技力,歌唱力そして明るいお人柄によるものだと思います。

…それにしても長い文章 最後までお付き合いくださった方,ありがとうございました!


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たーころ

み~ちゃん、東京でのお芝居は市村さんだったのね。私は彼の舞台は見たことがないのですが、昔から凄い人気ですよね。やっぱりそれなりの理由があるんだなぁ、とみ~ちゃんのお話を聞いて思いました。
一人8役????で、50人もやったことがあるですって?
どういう感じなんでしょう?舞台裏は物凄い戦争でしょうね。そういうドキュメントも見てみたい気がしました。
by たーころ (2005-09-24 07:38) 

ツッチー

市村正親さんっていいですよね♪
テレビでしか観たことがないけれど、トーク番組などでは
本当に年齢不詳、滑舌がよく明るく人を寄せ付ける力もあり、
何よりもオーラがありますね。

み~ちゃんのお話はとてもイメージが沸いてまるで私も観ているようで
楽しいです。
「観たい!」と、思ってきちゃう!
by ツッチー (2005-09-24 09:24) 

み〜ちゃん

>たーころさん
市村さんは人気者なので,希望の日のチケットを入手するのは難しいです。
ファン層も結構高いので^^;土日の日中なんては潜り込むのが至難の業!
今回は3連休だから取れたかしら?と思ってます。皆さん旅行中?お墓参り?
彼は1人の舞台を毎年やっています。クリスマス・キャロルは54役でした。
でも違和感なくやってのけますよ。椅子に座ったら母親になったり,そこから
立ち上がると青年になったりと。 ガラスの仮面のようです~^^
舞台裏はほとんどないと思います。 ずっと舞台に出っぱなし^^; でも私も
是非ドキュメント見てみたい! どうやって完成させるのか興味ありです。

>ツッチーさん
まさに彼にはオーラがあります。 だからTVドラマだと浮いちゃう^^;
トークはとても面白いですよね。
なかなかとりにくいチケットもありますが,ぜひご覧になってください!
…最後までお読みくださったのでしょうか? ありがとうございます!
久々の市村さんで気合いが入りました^^; 
by み〜ちゃん (2005-09-24 10:10) 

猫ふみふみ

良いものは、心の糧になりますよね。
舞台も映画もコンサートも、チケットがとれず、
なかなか見に行けませんが、とれた時には目一杯楽しんで来ましょう!

桜坂・・・赤い橋のあるほうですか?
それだと大田区のはずれの方なんです。
by 猫ふみふみ (2005-09-24 14:37) 

み〜ちゃん

>ふみふみさん
やっぱり桜坂間違っていました!!!
赤坂ですから港区ですもの。
う~~~~ん恥ずかしいわ^^;
こちらはこぢんまりとしっとり落ち着いた桜坂でした。
いろんなところに桜坂があるんですね!
by み〜ちゃん (2005-09-25 11:14) 

キンジー

ワタシね、すっごく若かった頃(ハタチだよん)、ジーザスクライストスーパースターの公演を見て、市村さまにひとめぼれをしてしまった過去を持っていますのよ。
鹿賀丈史さんよりず~っと好きでした。
でね、しばらく追っかけてましたわ♪(笑)
遠い昔の思い出でござひます・・☆
by キンジー (2005-09-30 12:02) 

み〜ちゃん

>キンジーさん
市村さんのファンでしたか~!(^^)!
キャ~うれし~~い!!!
私もちょっと若かったころに(え?^^;),オペラ座の怪人を見て
魂を持って行かれてしまいましたぁ。
ジーザスをご覧になったなんて羨ましいわ~。
怪人以外の四季の舞台は見られなかったのが,残念!
キンジーさん,もう追っかけませんの? こちらも一緒に追っかけまひょ^^
by み〜ちゃん (2005-09-30 20:58) 

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